お客さまより「棹がグラグラ動くので直して欲しい」との依頼がありました。
早速三線をチェックしてみると・・・
この状態では一見すると普通に見えますが、棹に少し力を加えるだけで・・・
先ほどの写真と比べて棹が動いているのが分かるでしょうか?
正面から見て右側が後ろに下がっている状態です。
分かりやすくアニメーションにしてみました。
これはヒドいです…
「棹と胴体をきちんと固定」するのは三線の基本!
このような状態ではまともに弾けないので上達の妨げになるのはもちろん、異音の原因にもなるので楽器として完全に失格です。
棹を外して棹穴をチェック。
穴のサイズを計ってみると、棹のサイズに比べて6ミリも大きな隙間があることが分かりました。
棹の隙間を埋める木片などが脱落した可能性も疑いましたが、胴体の中に落ちている様子もなく、木片を接着したような痕跡も全くありませんでした。
状態が分かったら早速修理開始です。
写真は撮る時間がありませんでしたが、棹がきっちり完璧に固定されるように正確に丁寧に、同時に分当ても適切に修理を行いました。
ビシッと調整された三線で、気持ちの良い三線ライフを楽しんでくださいね!
今回の三線は某団体さんの三線でした。
某団体さんの三線は割とよく修理に持ち込まれますが、素晴らしい出来映えの逸品に感心する事もある反面、「材質や皮は上等なのにそれ以外の部分が雑でいいかげん」という物の割合が高いな、という印象があります。
職人さんによる品質のばらつきが非常に大きいのが一番の問題でしょう。
それもそのはず、某団体さんが保証しているのはあくまでも棹の材質のみであり、棹自体の出来映えはもちろん、それ以外の品質に関する保証や規定は何一つありません。
楽器として工芸品として問題のある物がブランド品として出回ってしまう事は、某団体さんにとってもイメージの低下に直結する要因となり、デメリット以外の何物でもないと思います。
「ブランド化に注力するよりも先にするべき事があるのでは?」と心配せずにはいられません。
「せっかく高いお金を出して買ったのに、がっかり…」
そんな事にならないよう、三線を見る目はしっかりと養いましょう。
写真・文 店主
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