琉歌・恋歌の情景


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収録内容

書籍情報
記法
著者船越義彰
監修
イラスト
編者
発行ニライ社
発行日2007/05/15
ISBN978-4-931314-66-5
サイズA5
  1. 夢のつれなさや
    • 干瀬にをる鳥や満潮恨みゆり
    • たまさかの今宵鳥や歌らはも
    • もしか夜の明けてよそしらばきやしゆが
    • 枕ならべたる夢のつれなさや
    • おぞで取て投げる科もないぬ枕
    • 我身や無蔵とまい無蔵やわぬとまい
    • 語らても互にい言葉や残て
    • 忍で行くこころよそ知らねども
    • 捨てられる我身の恨みないぬおきゆめ
    • 一夜手枕に千の夜はこめて
    • 拝でなつかしややまづせめてやすが
    • よその目の繁さしばし待ちめしやうれ
    • 忘るなよ今宵袖の振合わせや
    • 鐘よ恨みても鳥よ恨みても
    • 花の下紐やかりそめに解くな
    • 里が手になれし花の下紐や
    • 面影と夢のいかな責めらはも
    • あらはれててやり里一人なしゆめ
    • 夜咲きゆる花や匂ひどかん知ゆる
    • 鳥うたてだいんすかに苦しやあすが
    • 手枕の情け語らゆる中に
    • 鳥やうたらはも夜や明けてくいるな
    • 宵の間や互に袖よかさべても
    • 闇の夜の間や我身とまいて拝ま
    • 暁やなゆいいきやおさうずめしやいが
    • のが急ぎめしやいる月も照り清らさ
    • さらば立ち別らよそ目ないぬうちに
    • あけやう別れとて焦がれ死なよりや
    • 惜しむ夜や更けて明け雲や立ちゆい
  2. 夢のゆくえ
    • 乱れ髪やてもいきやす梳かれゆが
    • 涙袖ぬらちあかぬ振別れの
    • 里と御衣かさべ別ち袖ぬけば、
    • 手枕のうちに契り物語り
    • かさべたる御衣の匂ひやちやうもとめて
    • 別て面影の立たばぬきめしやうれ
    • ただしばしともて仮寝しやる宿の
    • 忍びごとやれば残すい言葉も
    • あかいづ羽御衣や濡れらはもばかり
    • ふやかれてあとの名残ないぬごとに
    • 思まぬ故からど義理にことよせる
    • やがて来ゆんともて松の下露に
    • 拝まねばのよでこの哀れしやべが
    • よも面のきよらさどく頼でをるな
    • 思ぬ故からど覚出しもしゆゆる
    • 思て思まぬふりしゆらんでどしゆすが
    • 約束のあてど寝屋の戸はたたく
    • あひやんがれ浮世義理のないぬあれば
    • 花当の里前花持たちたばうち
    • 浮世ならひともて無蔵戻ちあとに
    • かに惜しさあるゑ忍でふやはちやる
    • 義理ともて恋路忘られてからや
    • 恋しあかつらの波に裾ぬらち
    • 面影の立たば沙汰よしゆんと思れ
    • あまりどく鳴くな野辺のきりぎりす
    • おそで恋しさや夢にお行逢拝で
    • いきやしがな我身の赤糸御衣やとて
  3. かなし面影
    • 誰よ恨みとて鳴きゆが浜千鳥
    • 朝夕さもお側拝みなれ染めの
    • 遊び面影やまれまれどたちゆる
    • 頼む夜やふけておとつれもないらぬ
    • こころあてからや海山の底も
    • ともに眺めたる人のをてからや
    • 枕よりほかに誰が知ゆが涙
    • 恋忍ぶ夢の行きつかぬうちに
    • 面影や朝夕我が袖にすがれ
    • 面影の立ちゆす誰がしちやるわざが
    • 夢の通はしにあはれ尋ねらば
    • のがすどく我身に物よ思はしゆる
    • 秋の夜はいつも閨の戸はあけて
    • むつれたる昔のよで忘やべが
    • 思ひきやけもすらぬ拝で嬉しさの
    • 明日からの明後日里が番上り
    • 月の夜も夜ゑ闇の夜も夜ゑ
    • あはぬ夜のつらさよそに思ひなちやめ
    • 一期このことゑ夜々の夜々ごとに
    • 夢の間にしのぶ手枕の匂ひ
    • 添たる夜やいつか玉黄金お側
    • 寝ても面影の忘ららぬ故ど
    • よそ自恥しちど思ぬふりしちゆる
    • 目にも見られらぬ手にも取られらぬ
    • 我が思るごとに里がども思めば
    • 我肝病ますんでぃどぅどなん島渡りおぅたんな
    • なんた浜までや妻に送られて
  4. しほらし思無蔵
    • 諸屯女童の雪の色の歯茎
    • 津堅と久高と舟橋架けて
    • 語らてもしほらしやしほらし思無蔵が
    • 謝敷板干瀬にうちやり引く波の
    • あんぐわ玉乳小昼や押し隠し
    • 津堅渡の渡中汗はてど漕ぎゆる
    • 与那の高坂や汗はてど登る
    • 別れ路のつめて近くなてくれば
    • 主の前御状をがで読み開く時や
    • 無蔵やなま童もの言れば泣きゆい
    • 焦がれゆる恋路知らな思童
    • 昼やちやうも里とな原々しゆゆり
    • 伊野波の石こびれ無蔵つれてのぼる
  • 仲風
    • 夢かうつつか幻か
    • 恋に限りのあるものゑ
    • 石の火かわが胸や
    • よそ目忍ぶな玉黄金
    • 赤田門やつまるとも
    • 語て呉れ漕ぎ渡ら
    • 語りたや語りたや
  • 著者詠 慕情(うむい)
  • あとがき
  • 索引(上の句)

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