三線の蛇皮ってどうやって張るの?

三線の蛇皮ってどうやって張るの?

店主の職人技が光る皮張り作業

普段はあまり目にすることの出来ない皮張り作業を、詳しくご紹介します。

ナビィ三線で一番の人気は蛇皮強化張り。

蛇皮の下に下地を張ることによって蛇皮が強化され、破れずに長持ちするという張り方です。

通常の蛇皮だけの張り方と違い、下地と蛇皮のバランスを考えたりしなくてはならない分、良い音色に仕上げるのは難しくなります。

それでは、詳しい行程を順を追って見て行きましょう!

1.下地の張り付け

まずは下地の張り付けからです。

左が胴体の木枠、右が蛇皮と下地の生地です。

胴体はあらかじめブーアティー(棹との角度調整と接合調整)を済ませてあります。

これを先に済ませておかないと、棹と胴体のつなぎ目に余分な隙間が出来てしまう原因になるので、必須の作業です。

でもここだけの話、ブーアティーをしないまま先に皮張りだけを仕上げてしまうお店が多いんです…。

下地の生地のアップ。

もの凄く丈夫なナイロン生地です。

話によると、車のエアバッグにも使われるような超丈夫なナイロン生地らしいです。

下地を2枚の金枠に挟んで、しっかりクランプ止めします。

皮張り器にセット。

皮張り器と金枠をフックでつなぎ合わせれば加圧準備OK。

一度限界ギリギリまで下地を伸ばします。

表面を叩きながら皮張り器を少しずつ緩め、音を確かめながら張りの強さを調整します。

この調整が仕上がりの音色や響き方に大きく影響するので、慎重に行います。

張りの強さが決まったら、接着剤で下地を胴枠に張り付けます。

下地の接着が完了しました。

余分な部分をカットして…

綺麗に下地が張れました。

裏面にも同じように下地を張りますが、表面に比べて若干弱めに張ります。

この表裏のバランスが最終的な響き方に大きく影響します。

次は蛇皮の張り付けです。

2.蛇皮の張り付け

蛇皮の張り付けは、蛇皮選びから始まります。

強化張りの場合は本張りと違い、厚くて丈夫な皮を張ってもいい音は出ません。

下地とのバランスを考え、慎重に適切な厚みの皮を選びます。

蛇皮を張る前の準備段階として、あらかじめ水にひたして柔らかくしておきます。

乾物を戻すような作業ですね。

柔らかくなった蛇皮を、鉄枠に挟みます。

ヌルヌルとした手触りと、ほのかに漂ってくる蛇皮の臭い…

爬虫類が苦手な人にとっては想像を絶する作業でしょう。(^^;

まずは下地に接着剤を塗ります。

画像では分かりづらいですが、接着剤を全体に伸ばした状態です。

接着剤の量が多すぎると音色の透明感が失われるので、必要最低限だけを残します。

鉄枠に挟んだ蛇皮を上に乗せます。

接着剤が固まり始まるまで10分ほど余裕があるので、その間に胴体に対してまっすぐになるように位置の補正をします。

下地と蛇皮の間の空気を完全に追い出す事もこの時点で行います。

ジャッキアップして蛇皮を伸ばします。

蛇皮の厚みは一枚一枚違うので、乾燥後の音色を想定しながら張りの強さを慎重に、時には大胆に調整します。

経験と勘が必要とされる行程です。

接着剤が固まり、蛇皮がある程度まで乾燥するのに数時間から一晩程度掛かります。

鉄枠から外すと、まるで羽付きの餃子のような姿になりました。

蛇皮を胴体の横にも張り付けます。

接着剤を流し込みながら、ホースバンドで固定して接着します。

余った蛇皮を切り落として…

片面が完成しました!

切り口を綺麗にまっすぐ仕上げるのが店主のこだわりです。

次は裏面です。

写真は裏面が張り上がって鉄枠から外した状態です。

作業の行程は表面と全く同じですが、表面よりも若干弱めに張ります。

表面と同じように胴体の横に皮を接着します。

表面の皮の切り口とピッタリ重なる所まで、しっかり貼り付けます。

余った皮を切り落とします。

手元が狂わないように、慎重にまっすぐ切ります。

最後に、棹が通る穴を開ければ完成です!

皮の合わせ目を綺麗にまっすぐ仕上げるのが店主のこだわりです。

ほとんどの部分はティーガー(胴巻き)によって隠れてしまうので、自己満足と言えば自己満足ですが…。

ギザギザ、ヨレヨレの合わせ目よりはいいんじゃないかな、と。

ナビィ三線ではこのように店内で皮張り作業をしています。

皮張り中にタイミング良く来店された場合はラッキー!

間近で見学できますよ!

興味がある方は実際に蛇皮や下地に触れる事もできますので、お気軽にお声かけくださいね。

また、蛇皮を仕入れた直後であれば、長いままの蛇皮を見ることもできます。

手に持ったり体に巻き付けたりしての記念写真も好評です。(^_^;